Project プロジェクトストーリー

富山の某製薬会社 製剤製造棟新築工事

Vol 2. 難関「土間打ち」へ、そしてミリ単位で挑む製薬工場建設

Prologue

「くすりの富山」を支える、技術と熱意

古くから医薬品産業が盛んに行われ、「くすりの富山」や「薬都」と呼ばれる富山県。タカノ建設は創業以来、この地で数々の製薬工場を築いてきた。いま新たに取り組んでいるのは、最新のクリーンルームを備えた製薬工場の新築工事。薬の安全を守るため、限りなく高い完成度が要求されるこのプロジェクトに、熱い思いを持って挑んでいる。

Member

  • 大村 賢生

    現場所長

    大村 賢生

  • INTERVIEW
    澤田 翼

    現場主任

    澤田 翼

  • 宮崎 建伍

    現場職員

    宮崎 建伍

  • 施工管理/土田 隆聖

    現場職員

    土田 隆聖

Outline

工事の難関「土間打ち」へ、万全の準備

20213月、富山市中大久保で建設が進められている医薬品製造工場の新築工事現場に、色鮮やかなプラスチック製の治具を、黙々と取り付ける男たちの姿があった。その中の一人、澤田翼は、現場で指揮を執る施工管理チームのサブリーダー。目前に迫った「土間打ち」と呼ばれるコンクリートの打設に向けて、準備を進めているところだ。彼が手にしているレベルポインターと呼ばれる治具は、床にコンクリートを流し込む際に、高さを決めるための目印だ。約1500㎡の床に、4㎡ごとに目印をつけていく。その本数は、単純計算で375本。施工管理チームの仲間や職人たちと分担し、足元に張り巡らされた鉄筋を避けながら、慎重に作業を進めてゆく。

巨大な工場建設に、ミリ単位の精密さで挑む難しさ

「土間打ちは、やり直しのきかない一発勝負なので、何度経験しても緊張します」と語る澤田。設計で床の高さが決まっていても、そこから床材の厚みを引いて、水を使う場所では勾配をつけるなど、現場での細かな調整が欠かせない。使用するコンクリートの量を見込んで、事前に発注するのも重要な仕事だ。床だけで300㎥ものコンクリートを使う巨大な建物だが、仕上がりに求められるのは、ミリ単位の精密さ。「ほんの1ミリの隙間でも、医薬品を作る工場にとっては致命的です。虫もホコリも絶対に侵入させない、正確な施工を目指します」と、澤田は気持ちを引き締める。

協力業者や職人と力を合わせ、工事の山場を無事クリア

そして迎えた土間打ちの日。2か所の出入口にそれぞれポンプ車が配備され、6台のミキサー車が入れ代わり立ち代わり生コンクリートを運び込む。建物の一番奥から打設をスタートし、ポンプ車の配管を回収しながら、出入口側へと進む。土間の高さがレベルポイントにぴったり合うよう、固唾をのんで見守る澤田たち。最後の型枠に無事コンクリートを流し終わったとき、思わず安堵のため息が漏れた。この日に使ったコンクリートの総量は、ミキサー車で約75台分。大規模な土間打ちをトラブルなく、計画通りに進めることができたのは、協力会社や職人たちの積極的な協力があったおかげだと澤田は振り返る。「経験豊富な職人さんたちが、ミスやトラブルの起きやすそうなところを『ここはどうする?』と事前に確認してくれて、とても助かりました。私も今回の経験を、これからの現場で活かせるようになりたいです」。

冬の遅れを取り戻し、検査に向けてラストスパート

最大の山場を無事に乗り越えた現場では、最後の関門である完成検査に向けて、内装工事や外構工事が急ピッチで進められている。冬の大雪で遅れたスケジュールを取り戻すために、綿密なスケジュールを立てる澤田。「ここからは特に多くの業者さんが出入りして、内装、配線、照明、空調など様々な工事を並行して進めるので、工程管理が大変です。施工管理チームのメンバーと仕事を分担しながら、現場全体が上手く回るように、調整したいと思います」と、頭を悩ませる。クリーンルームの建設では、通常の完成工事に加えて、室圧などを厳しくチェックする竣工検査も行われる。検査まで残り3ヶ月。初夏を迎えた工事現場に、いよいよラストスパートがかかる。