Project プロジェクトストーリー

「リチウムイオン電池向けカーボンコート箔」 生産工場

チームワークで乗り越えた大規模プロジェクト

Prologue

巨大な製造機械を備えた、大規模工場建設

2020年8月、北陸新幹線の沿線に位置する富山市内に、「リチウムイオン電池向けカーボンコート箔」を生産する工場が誕生した。工場の中でひときわ目を引くのは、巨大な製造機械。限られた作業スペースの中で、建物の建設と機械の搬入を同時に進めるのは至難の業だった。未曽有のコロナ禍も乗り越えた、完成までの道のりを振り返る。

Member

  • 現場所長/池田弘隆

    現場所長

    池田 弘隆

  • INTERVIEW
    現場主任/真野 朝陽

    現場主任

    真野  朝陽

  • 施工管理/宮田祥太郎

    現場主任

    宮田 翔太郎

  • 施工管理/松井孝平

    現場職員

    松井 孝平

Outline

限られたスペースに、大型工場を建設せよ

限られたスペースに、大型工場を建設せよ

2019年秋、ある大型工場の新築工事プロジェクトがスタートした。発注者は、医薬品用包装資材のメーカーとして110年以上の歴史を誇る老舗企業。包装用アルミ箔の加工技術を応用し、リチウムイオン電池やEDLC (電気二重層コンデンサ)、リチウムイオンキャパシタに使用できるカーボンコート箔の製造を本格的に漕ぎ出すため、新工場を建設するという。このプロジェクトの施工管理を担当するのは、所長の池田弘隆を中心とする4人の施工管理チーム。現場を視察し、まず課題となったのは、敷地の北側を走る北陸新幹線の高架の存在だった。鉄道の安全を守るため、高架の近くでは重機の使用や鉄骨の建て方が制限されている。高さ制限に縛られた厳しい作業条件の下で、大きな挑戦が始まった。

巨大な機械の搬入と、同時進行の建設工事

巨大な機械の搬入と、同時進行の建設工事

入社6年目の真野朝陽は、所長に次ぐチームの二番手として、この現場の施工管理を担当した。真野が最も苦心したのは、生産機械の設置工事とのスケジュール調整だった。非常に大きな機械のため、建物の完成後に機械を運び込むことは難しく、通路の確保も大変だ。そこで、建物の床ができた段階で機械の設置を行い、その機械の上に足場を組んで、天井や壁など残りの工事を行う流れとなった。「複雑な工事を無事に進めることができたのは、機械屋さんやお客様と密に協力ができたからです。力を合わせて、完成に一歩一歩近づいていくことが、大きな励みになりました」と、真野は工事を振り返る。

最善を尽くした、コンクリートのひび割れ対策

最善を尽くした、コンクリートのひび割れ対策

もうひとつの課題は、工場の床を覆うコンクリートのひび割れ対策だった。別の工場で床にひび割れが発生したため、この工場では特に対策をしてほしいとクライアントから要望があったのだ。設計事務所の担当者にコンクリートの最新技術を学ぶ勉強会に参加してもらい、その内容を社内で共有。コンクリートに収縮低減剤や膨張材を配合し、目地の入れ方や配筋方法についても慎重に検討を重ねた。これから何年も後にならないと結果は分からないが、真野は「今の時点で考えられる、最善の対策ができたと思います」と、手ごたえを感じている。

未曽有のコロナ禍を乗り越えて、仕事のやりがいを再確認

未曽有のコロナ禍を乗り越えて、仕事のやりがいを再確認

工事が行われた2020年は、日本全体が新型コロナウィルスによって大きな影響を受けた年だった。現場ではチェック表を作成して、職人一人一人の体温や体調を細かく記録。前例のない事態に、緊張する日々が続いた。そんな中で真野は、明るい声で現場を引っ張る所長の姿に心を動かされたという。「所長の声掛けや冗談のおかげで場が和み、コミュニケーションのとりやすい、楽しい現場になりました。私たち施工管理には、現場の雰囲気を作るという『仕事以外の仕事』もあるのだと気付き、とても勉強になりました」と語る真野。工事は順調に進み、工場の完成時にはお客様から「次の工場建設も、ぜひタカノさんに頼みたい」という、最高の褒め言葉をいただいた。大きなプロジェクトを成し遂げた喜びと自信を胸に、真野たちは、仕事への意欲を新たにする。

昭北ラミネート建物