Project プロジェクトストーリー

富山の某製薬会社 製剤製造棟新築工事

Vol 3. 受け継がれる、“建設”と“人”への熱い想い

Prologue

「くすりの富山」を支える、技術と熱意

古くから医薬品産業が盛んに行われ、「くすりの富山」や「薬都」と呼ばれる富山県。タカノ建設は創業以来、この地で数々の製薬工場を築いてきた。いま新たに取り組んでいるのは、最新のクリーンルームを備えた製薬工場の新築工事。薬の安全を守るため、限りなく高い完成度が要求されるこのプロジェクトに、熱い思いを持って挑んでいる。

Member

  • INTERVIEW
    大村 賢生

    現場所長

    大村 賢生

  • 澤田 翼

    現場主任

    澤田 翼

  • 宮崎 建伍

    現場職員

    宮崎 建伍

  • 施工管理/土田 隆聖

    現場職員

    土田 隆聖

Outline

手塩にかけた建物の完成に、感無量

20219月、富山市中大久保にある医薬品製造工場の敷地内で、完成したばかりの新工場を見上げる大村賢生。昨年の秋にスタートした1年がかりの工事が、まもなく終わろうとしている。工事を振り返るたびに思い出すのは、記録的な大雪に見舞われた鉄骨工事。ここで発生したスケジュールの遅れを取り戻そうと努めた結果、8月末までかかる予定だった建築工事が、最終的には1ヶ月前倒しで完了した。「雪の中の鉄骨工事は私も初めての経験でしたが、こうして無事にお客様に引き渡しができて、心からほっとしています」と、笑顔を見せる大村。完成したばかりの工場に、医薬品の製造機械が次々と運び込まれていく。手塩にかけて建てた建物は、子供のようなもの。これから動き出す工場が、お客様のもとで末永く活躍するよう、大村は願っている。

 

成長著しい部下の活躍に目を細める

「この工事を成功させたのは、澤田と宮崎です」と、誇らしげに語る大村。若手の力を伸ばすため、今回の工事では大村がサポート役に徹し、実質的な業務はすべて、現場主任の澤田に任せたという。「大きな現場でプレッシャーもあったと思いますが、自分の力で工程を組んで、最後まで本当によくやり遂げてくれました」と、満面の笑顔で努力を労う。この現場での活躍が評価され、澤田は次の現場で初めて、所長を務めることが決定した。宮崎も、この現場で初めて月間工程表の作成や請求書の処理を任され、大きく成長した。工事が予定より早く完了したため、空いた時間に別件の小さな改修工事も任されて、一人で見事にやり遂げてきた。2人の活躍に、大村は次世代の担い手として大きな期待を寄せている。

先輩社員の成長が、若手のよきロールモデルに

澤田と宮崎の背中を追うように成長しているのが、入社4年目の土田隆聖だ。仕事に取り組む先輩たちの様子を隣でしっかりと見つめ、着実に仕事を吸収している。自分にできそうなことを見つけ出して「やらせてください」と声に出す前向きな姿勢を、大村は高く評価している。さらに、今年4月にはこの現場に、タカノ建設で初となる女性の施工管理担当者として、新入社員が配属された。先輩の澤田がトレーナーを努め、現場の仕事の流れをひとつひとつ学んでいるところだ。同社では、来年度も女性の施工管理担当者を採用することが決まっており、これまで男社会だった建設現場に、新しい力をもたらすことが期待されている。「人に仕事を教えることは、自分が仕事をするより何十倍も難しい。若手がみんなで助け合いながら頑張ってくれることが、何よりもうれしいです」と、大村は目を細める。

人と人が深く関わり合う、建設の醍醐味を知ってほしい

新築工事の完了時には、すべての鍵をキーボックスに納めて、お客様に引き渡す作業がある。たくさんある鍵がそれぞれどこの鍵か分かるように、小さなシールに部屋の名前を書いて、ひとつひとつ貼っていく。大村は、その作業をするたびにいつも「あぁ、これでこの現場も終わりだな」という、安心と寂しさの入り混じった気持ちがこみ上げてくるという。これまでに、数々の現場で所長を努め鍵の引き渡しを経験してきたが、今回は、鍵の引き渡しも若手に任せることにした。いずれ独り立ちする部下たちに、お客様から現場を預かる責任とやりがいを、感じてほしいと願っている。「建設の仕事はすべてが一品生産の手作りで、同じ設計図でも、完成する建物は現場監督によって大きく違います。私が常に心がけているのは、お客様の期待に120%応える仕事をすること。建物を完成させるだけでなく、お客様に喜んでもらうことがゴールだと思って仕事に取り組みたいですね」(大村)。人を動かし、人を育て、人を喜ばせる。建設の仕事には、ものをつくるだけでなく、人間と人間が深く関わり合う面白さがあると、大村は語る。ひとつの大きな現場を終え、それぞれが次の現場に向かって動き出そうとしている。そこでまた、新しい挑戦の物語がはじまる。