Project プロジェクトストーリー

県内小学校 建替工事

Vol2. 解決策は、先人の知恵と経験の中にある

Prologue

自分への挑戦!手腕の問われる小学校建替工事へ

2020年9月、富山市の中心部に位置する住宅街の一角で、小学校の建て替え工事が始まった。富山市が推進している学校施設の耐震化事業の案件だ。条件は通常どおり校舎で授業を実施しながら、残された狭隘な敷地の中でA工区、B工区に分割された工事を同時に進めていくものだ。児童も行き交う環境で、どうやって工事を進めるのか。普段は閑静な住宅街に位置する事もあり近隣対策の調整が重要な状況の中、緻密な計画のもと、施工管理者たちの試行錯誤が始まった。

Member

  • INTERVIEW
    現場所長/前田義行

    現場所長

    前田 義行

  • 現場主任/幅口充

    現場副所長

    幅口 充

  • 施工管理/奥村 平

    現場主任

    奥村 平

  • 施工管理/西田 光社

    現場職員

    西田 光杜

Outline

職人たちの掛け声と、槌音響く工事現場

202110月、内装工事が行われている小学校改築工事現場に、職人たちのかけ声と工具の音が響く。この日の作業人数は約30人、多い日には50人以上が建設中の校舎に出入りして、ボード工事、クロス工事、左官工事、電気工事などを施している。所長の前田義行は、現場の様子をチェックしながら職人たちと親しげに言葉を交わす。多くの人と物が出入りする現場の管理は、責任重大。みんなが仕事をやりやすいよう、資材置き場の配置を決めたり、スケジュールを調整したり。日に日に学校らしくなる内部の様子と、手元の図面を見比べながら、前田は「ここまでは予定どおり。問題はこれからです」と、つぶやいた。

進む工事と、ますます狭まる搬入経路

この現場で、工事の開始当初から前田たちを悩ませてきたのは、敷地に余裕がないことだ。建設している新校舎のすぐ横に、児童たちの通う旧校舎が建っている。新校舎の建設では、重機を少しでも奥へと導くため、基礎工事の後、端の棟の基礎をいったん埋め戻し、奥の棟が完成した後に、再び土台を掘り起こして残りを建てた。時間もコストもかかる苦肉の策だが、この現場でできる最善の方法だったと前田は振り返る。躯体工事の終わった今は、2つの校舎の間の隙間をすり抜けるようにして、資材を現場に運んでいる。校舎を囲む塀なども次々と完成し、資材の搬入に使える通路は、日に日に狭くなる一方だ。

解決策は、先人の知恵と経験にある

「最後の難関」と前田が呼ぶのは、理科室の実験台や家庭科室の調理台などの搬入だ。実験台や調理台は、大きい上に重量もある。どうやって搬入するのか、まだ答えは出ていない。しかし、どんな問題でもひとつだけ言えるのは、過去の事例のどこかに必ず、解決策があることだと前田はいう。「建築の仕事には、常套手段と呼ばれるやり方が多々あります。これまでに多くの人たちが試行錯誤し、確立してきた数々の方法の中から、この現場にベストなやり方を見つけ出したいと思います」(前田)。

3月予定の工事完了まで、あと一息

昨年の冬は記録的な大雪に見舞われたが、幸いだったのはちょうど基礎工事の杭打ちが終わった直後で、現場が平らな状態だったこと。降り積もる雪を重機で集めて、排雪場まで運ぶことができた。雪で工事がストップしていた2週間分ほどの遅れも、その後の工事で、いつの間にか取り戻すことができたという。今年の冬は、どうなるか。3月の工事完了を目前に、2度目の冬が始まった。